追信
11年前の
 宅建高岡支部への
   承禎の投稿原稿

私の趣味

日本人の生活が豊かになった分、それにつれスポーツ・芸能・レジャーと多様に、一人一人が
存分に楽しんでいる昨今、自分はと考えると、生活のすべてが仕事!!「貴方の趣味は?」と
他人から問われたら!!「ハイ仕事です」と元気よく答える自分、まさに、世界中から、非難
の集中砲火を浴びる日本人の一人(オーバーな)であると、自負している自分です。
 好きな酒も仕事の宣伝・情報収集の一環!!と、家族や自分に弁護しても・・・・・・マァ趣味とは
言い難しいものです。

 年に一度の秋のコケ狩りも、お客様に味わって頂くのが喜びで出かけるもので、これも趣味と
は言えません。(一年に一、二度ではネェ・・・・・)・・・・・“ありました”強いてあげれば、思い出
した様に、奥から取り出す、陶磁器の鑑賞です。
 一ヶ月に一、二度。仕事の合間に自分の好みの壷などを眺める時間が唯一心が和む一時です。
 私達の仕事が対人間・・・十人十色、百人百様の人達との真剣な交渉・・・・成立まで忍耐強く働き
かけ・・・・。
 お客様一人一人の人生に大きくかかわる大切な仕事・・・・・。私は私なりに誇りをもって大いに
楽しんで仕事をしているのですが、しかしながら、自分が一生懸命、お客様にあたりながら、
仕事の成立とかかわりなく、自分の気持ちが理解されない時や、様々な方の人生を見たり、心
のひだをかい間見る時・・・・・心が空しさで一杯になるときがあります。(皆さんはどうですか?
)そんな時、大切にしてうる中国明代に水鉢や花器・壷等々。いくつかの焼き物に向かう時、
暖かく私を向かえ、私の心をいやし、静寂な世界に私をしばし止め置いてくれます・・・。それは
形(器)を変えて歴史の中の、見知らぬ人達の力強き鼓動“励ましの声”との交流、又、自分
自身との対話の時間でもあります。
 たかが土を形に変えたものと言えど、かって戦国時代信長に攻められ、落城の浮目を見た戦
国の雄が、「命はくれても、この名器までは渡さない」と炎の中に抱き消えた話など、器
にまつわる逸話は多く、歴史の扉を開いてくれます。
 選ばれた器や壷が、時代を見つめ様々な人の喜びや悲しみを器の土の中の包み込んで、問い
語りかけてくれます。
 名もなき多くの職人達が、黙々と汗にまみれ、土をこね、絵付をし、薪をくべ、焼き、造り
上げた“一品”幾多の人の手を経て、大切に受け継がれてきた器・・・・それらを愛した人の気持
ちが少し分かる様な気がするのです。
 訪問先で、花器や床置きなどを横目で見たり、拝見させて頂くのも“役得”楽しみの一つで
す。
 会員の方で、焼き物が好きな方がおられましたら、色々教えて頂いたり、拝見させて頂けれ
ば幸です。
 やっぱり仕事が一番の楽しみです。
 紙上を借り、今後供宣敷く、御指導、御付き合い願います。

                                 平成5年○月