「不安と読書」

 

私の中学の同級生にA君がいた

彼とは別に親交はなかった

育ちであろう、中学当時から威風堂々としていた

私的な事で怒る男ではなかった、そのため同級生の中でも、完全に一目置かれる存在であ

った

その彼は県下の代表的進学校から大学を卒業し、親の会社を継ぎ、私が千里ブロックで悪

戦苦闘している頃、彼は既に、遥か前方、日の当たる坂道を登っていた。

その彼と十数年振りに出会い、話す機会を得た

●その会話の中で、彼が一日1冊本を読む事を自分に課していると言う

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私にとって、衝撃的であった

実は悪い冗談ではないが、密かに私は彼をライバルと思っていた

いつか追い抜いてやりたい・・・・と

恥ずかしかった

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ライバルと思うこと事態、恥ずかしい・・・・・問題外であった

サラリーマン時代多少の本を読んだといっても比較にもならない!!!!!

自分は高卒、しかも商業高校、考えればブラックジョークにもならない

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その頃、千里ブロックのセールスをしながら、諸々思う事があった

★果たしてこのまま長い人生、家族を守って行けるのか

心の無意識の奥底で不安を覚えていた

★丁度、スプリングのバネが伸びきった状態の頃である

口でその場を上手にクリアしていても、絶えず不安が残った

井戸の水が枯れる寸前の状態のような気がして、無意識の中に恐れを感じていた

その虚を鋭く衝かれたのである

タダでさえ先を歩いているのに、このままでは彼との差は開くばかり、このままでは完全

に姿が見えなくなる

(ホントにそう思ったのである)

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いや彼の事は置くとしても、このままでは自分は糸の切れた凧になる

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数日私は思い悩んだ

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当面、喰うだけの貯蓄はある筈

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少々時間を取っても仕事は何とかなる

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それに今の自分は、社会の仕組み、また世の中全体の事が分からない

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私は意を決した

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本を読もう!!!!!!!!!!!!

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脳味噌に食べ物を供給しよう・・・・と!!!!!!!

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私はその彼に今でも深く感謝している

彼がいなかったなら、間違いなく今日の自分は無い

その彼は何年か前に倒産した

親会社の徹底した合理化の犠牲であった

しかし彼の人間性を周囲の人も認めている

職種転換し、今、再起の道を歩んでいる

私も遠くで声援を送っている

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何処まで彼に迫ったか分からないが、何とか同級生として、対等までゆかないが、話が出

来る所まで来たと思っている・・・・・・。

全ては長い人生を生き抜くため、そして家族を守るため!!!!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・であった