翁との別れ

 

高齢で病に伏せっておられた

「寶」本が完成した時、一度だけ病に伏せっておられる翁を見舞った

その時も眠っておいでて、一言も会話を交わす事が出来なかった

それ以後、気にしつつも、お見舞いすら行ける状況でなかった

ただ、娘さんに何かあったら、電話を入れてくださいと、其の事だけは伝えてあった

私は寝食を削り、時間との壮絶な戦いをしていたのであった

更に家族の問題で地獄を這い、金銭面、その他二重三重の苦悩が覆いかぶさっていた

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そして娘さんからお電話があった

翁の家は親戚が大変少なかった

町内の人が数人お手伝いに来た程度であった

駆けつけた私は翌日と記憶しているが、1日だけ葬儀のお手伝いをすることに決めた

市内のお寺で密やかに営まれた

棺に「寶」本と愛知万博推進局長の手紙のコピーを添えた

それが博史、翁への私の献花であった

翁に「寶」を世に送り出す事を誓った

平成191124