出光美術館・長谷部樂爾館長

 

記憶しているのは、長谷部館長に、仮本をお送りした

そして「寶」を直接見て戴く事をお願いしたのである

長谷部館長は『原色日本の美術』の「陶磁器」部門の中国「唐白磁」の項を担当された

日本の権威である

東京有楽町に出光美術館はあった

私は早めに美術館に来て館内の展示美術品を見て回った

その館内の一室におびただしい陶片(唐白磁)があったのを記憶している

何百点、いや千点以上かもしれない

それはさておき、長谷部館長に「寶」を見ていただいた

静かな物腰の人柄であった

その時の印象とお言葉は「寶」本にも記してある

★“唐宋いずれの特徴も僅かに見れないでも無い”

(館長の著書には唐宋いずれも殆んど同じ特徴とある、即ち唐代の陶磁器であってもなん

ら不自然では無いと言う事である)

私が「印台と獅子は別々に焼いたものでしょうか」と質問すると

★“一緒に焼いたものでしょう”との言葉であった

即ち「寶」は自然石ではなく、焼き物なのである

●後日の中国故宮博物院の自然石との鑑定と全く異なる判定である

(中国故宮は写真だけの判定である)

★日本一の唐白磁の権威、長谷部館長から十分過ぎる御意見を拝聴した

「寶」観賞の目は、慎重かつ深い眼差しが印象的であった

上京して大きな成果を得た

平成19111