上野国立博物館

陶磁室長矢部氏

 

東京上野公園の一角に国立博物館がある

矢部氏は、たしか『原色日本美術』の陶磁器遍の総括責任者であった

私は厚かましいのと、相当の自信家である

取り分け陶磁器にかけて、密かなとんでもない自負をもっている

いやそれはそれまで商売全般、営業畑を歩いてきた中で培われたものであろう

それは日本の最高権威者の一人に数えられる出光美術館長谷部館長に対しても変わらぬ調

子である

敬意は表するが、物怖じはしない

肩書きは横に置いて、絶えず人は皆、同等と言うのが私の基本的スタイルなのである

出光美術館長谷部館長と同時に矢部先生にも「寶」本を事前にお届けしてあった

国立博物館は記憶では蓑館長の大阪市立美術館と同様、古いが重厚な建物であった

一室に案内され矢部氏に「寶」の短い経緯を話して、そして拝見戴いた

「寶」を手にし、注意深く観察してから、私の意見は出光美術館の長谷部館長と“同意見

です”との言葉であった

見解の言葉は物足りないが仕方が無い

それでも日本の公的機関の、最高峰の矢部氏が、私ごとき者に時間を割いて会って戴いた

全ては「寶」の驚異的威力のお陰である

平成191031