飛鳥Uその二

 

航路は伏木港の万葉埠頭から一泊二日で佐渡島を周回してくるコースである

後から聞いた話だと、乗客は八百名程と聞いた

ファーストクラスが飛鳥の最上階、自分はテラス付きのセカンドクラスである

勿論、バストイレ付でシングル・ベットのアパホテルより上のクラスである

試乗して、充分であった

天候に恵まれ波も無く、船体の揺れ殆どゼロの快適な船旅であった

マア、部屋のテラスで海を眺めながら、行きも帰りも、氷りで割った焼酎をチビリチビリ

である

映画でも見た有名なタイタニック号の沈没、そして韓国のセオル号の沈没事故が記憶に新

しい

そんな訳で、乗船前から、添乗員山下嬢に、もし事故になっても承禎は1人で逃げるから

と念を押しておいた

承禎には「寶」を世に送り出す、世界的使命がある

添乗員1人にかまっておれない

我が身が一番である事を明確に云い渡しておいた

それは、横に置いて、兎に角リッチであった

乗客に近隣の〇○市長が家族と共に乗船しておられた

我々の上、十階のファーストクラスであろう

室内より、メインフロアー、船の最上階のフロアーが素晴らしかった

乗船からピアノ演奏、下船するときは、ギターとフルートの演奏で見送ってくれた

船内最上階には、海の見える大きな浴槽3ツ、その内の二つはバブル浴槽そしてサウナ・

スチームバス・水風呂付きで、豪華であった

そして図書館、ショーステージ・麻雀・囲碁・将棋・その他、遊戯室、退屈な船旅を飽き

させない娯楽施設が完備されてあった

その他長旅の運動不足解消のストレッチ・ルームそしてシアタールーム、退屈させない為

の色々な娯楽と健康設備が整えられてあった

勿論、最上階の屋上にはプールがあり、それを取り囲む日光浴の何基ものパラソル、そし

て喫茶と軽食ルームがある

当然屋上までエレベータが前後に何基もある

三回の食事も多くのボーイが、懇切丁寧にエスコートして、乗客のリッチ感を満足させて

くれる

至れり尽くせりであった

それでも、何泊も載っていると絶対に飽きて来る

セッカチな承禎は一泊二日で充分である

三泊となると、承禎には絶対に無理

佐渡島を大きく周回して、これで佐渡は征服、オシマイである

芭蕉の句「荒海や佐渡によことう天の川」の佐渡は、好天の日本海に静かに横たわってい

た。

素晴らしい一泊二日のリッチな船旅であった

すべからく、承禎の哲学、「寶」の航路である

平成2698