第二章(七) 『陰陽思想』
印面の九文字「日界・月界」は陰陽を示した事は当初から分かっていました。
それ位の知識は一応ありました。
しかしそれは単なる知識であって、理解していたとは到底、言い難い。
陰陽=男女=光と闇=表裏・・・・・・・
正反対の世界。相対する相対の世界。
この一見単純そうな哲理、古代中国の考え方に、更に私はとんでもない漢大宇宙を観るの
であるが、この本の流れとしてそれはいま少し後に譲ろう。
この陰陽思想のはじまりとも言える日月信仰は中国各地にあったろうが「中国文化故事物
語」(文献25)によると、唐代中国西南地方の最大部族イ族が大きく発展させたとあり
ます。
「大漢和辞典」に“日月の相”は“天子の相”とあります。
印面には「君」の文字があります。
「君」は勿論天子の意味です。
「勅」は勅令、勅旨に見られるように天子の専用語です。
即ちこの印面は天子である玄宗皇帝その人を天刻(篆刻)してあるのです。