第二章(五)『陰陽・五行と易』
易は中国古代の聖王、伏羲が天地の理を察して八卦を画し、後にこれを重ねて六十四卦に
大成したといわれる。
(しかしこれには異説が多く、周の文王が六十四卦にしたともいわれる)
周の文王(紀元前12世紀)は、各卦を説明する辞、卦辞(彖辞ともいう)をつくり、文
王の子の周公は、この卦の構成分子である各爻を説明する辞、爻辞(即ち象辞)をつくった
といわれ、以上を易の本文とする。
(1) 伏羲が八卦をつくったということについては、『?辞下伝』に次のような記述がある。 「古、包羲氏(伏羲と同じ)の天下に王たるや、仰いでは象を天に観、俯しては法を地に観、 これが「仰観俯察」の説であるが、なおこのほか、伏羲が王になると天から河図を受けて、 「易と日本の祭祀」人文書院 吉野裕子著 |
正直この問題に深く踏み込む事をためらっている。
陰陽五行思想までなら、まだ何とか読者に「寶」の文言との関わりを説明出来そうである
が、難解な易をからめるとなると、正直な所、混沌に陥る。
「寶」解明の第4版から既に約13年が経過いたしました。
鬼神が乗り移ったような阿修羅の日々は、最早彼方です。
いやそれよりも私の力量では相当無理があります。
また易とこの文言と重ね合わせ解説すればする程、4版の「寶」本の二の舞になり読者が
背を向ける恐れがあります。
ドクマとジレンマに陥ります。
それでもこの九文字を考案した謎の宗師、司馬承禎は“陰陽五行”と“漢数術”を駆使し
て「易」の太上に輝く“太極宇宙”を現したのです。
私はそれに挑んだために殆どの人に読んでいただけなかった。
冒頭に載せた文献は「陰陽五行」と「易」から、日本の神事を照射解明しておられる日本
民俗学の第一人者のお一人であらせられる吉野裕子博士の著書のサワリです。
その吉野先生の談によれば先生の読者が全国で約2500人とのことです。
また私の師であります黒川総三先生は私の第4版の「寶」本を評して、恐らく県下で10
人理解できる人がいるか?と漏らされました。
考えれば「易」の太上に戴く、“太極宇宙”を“この文言”で具現したのであって、難解
な易そのものを具象したものではありません。
・ ・・・と今では都合の良いように考える事にしています。
しかしこの印面の向こうには、想像できない漢大宇宙が広がっている事に間違いはありま
せん。
驚異と言うより、只只呆然自失の世界です。
「寶」には数年前世界的に話題になった映画ダ・ヴィンチ・コードを完全に凌駕する奇
跡、漢文化の神知が天隠されてありました。
“天隠”とは人間が伺い知ることの出来ない、天に隠した神の知のことです。
避けては通れません。
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平成19年3月1日
注・以下に記す「易」に関連する私の前回の記述を掲載いたしますが、大方の読者は無視し
て先へ進んでください 。
易と「寶」 古来「易」は聖人・帝王の道標であった。 「天、神物を生じて聖人これに則り、天地変化して、聖人これに効ふ、天、象を垂れて に「数」あり、天印「鬼神」の「桁数」なり。「寶」の「数」は「気」の用なり。 元始に「太極」ありて「両儀」生ず、両儀「四象八卦」を生じ「六十四卦」「寶」と卦す。 天の数は、一・三・五・七・九、地の数は、二・四・六・八・十・「天地の十数」なり。 「一」は数始、「五」に備わり小衍し「十」を成し、大衍し「五十」と成す。 五十不動、一を損じて用をなす。「一卦」「六爻」あり、陰極「六」・「陽極」「九」なり。 「天地の総和」五十五なり。天印の画數は“天地の総和”なり。 九文字「九」は無限を象し、中央五文字「五」は木火土金水の五行を象す。 九文字、無限と印文・三桁体で九・三を示すは「天」と「帝王」の象。 「乾」・「乾為天」(飛龍天に有り、君子乾乾)の象。 中央「老」六画・陰極と中央「五文字」で「六・五」は万物始生の地。 「坤」・「坤為地」(黄裳元吉)の象。二象で天地始成の象。 よって中央五文字に秘めた天子「皇帝」とで天・地・人を成す。 この「寶」の全九文字は、中国文明の深淵「陰陽」「五行」・「易」の深淵“太極”を秘める。 その天子が“太上”に戴く「太極」の宇宙“道”は「易」と「陰陽五行」と化し、本書 の大河「天子・皇帝文化」の神髄を垂直に貫く。 今日に伝わる中国文化、その地下水脈に、太極の宇宙その神秘を湛える。 中国黄金文化の金字塔、「寶」は、「易」と「陰陽五行」この三大哲理の太上に輝く“太 極”の光です。 荘子の「易は以て陰陽を道ふ」(天下篇)、繋辞伝「形よりして上なるものこれを 「易」はあまりの難解さゆえ、今日もなお幽玄、未明の学術分野です。 本書「寶」の降臨により、いずれ現すであろう中国文化の黄金期、この奇跡の印文を発明 した謎の天才宗師その神秘の「易」哲理が「寶」の印文“九文字”を通しさらに解き明か されんことを願うものです。 「寶」は中国文明4000年の巨大な“太極”の光です。 易経(文献28参照) |