第二章(三)『(おうてい)帝』

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黄帝は、韻文の太上老君をさらに(さかのぼ)る中国古代の聖帝で道教の開祖的存在です。

この「寶」の印にもこの黄帝が奥深く秘められてあるのです。

黄帝は公明正大な善政を行い“有徳の帝王”として伝説の人です。

そして黄帝のような、民に対して善政をする皇帝の御世(みよ)に、言葉を話す神獣「白澤(はくさん)」が

現れると言う伝説がありました。

図の神獣が『大漢和』に載る「白澤」です。

そうです神獣、白澤は“伝説の獅子”なのです。

唐代、玄宗皇帝は道教の茅山派(ぼうざんは)12代宗師、司馬承禎より法?を授かり、史上はじめて道

教の主、(どう)(しゅ)皇帝(こうてい)に就任しております。

玄宗皇帝は唐朝を簒奪(さんだつ)した、祖母則天武后(そくてんぶこう)の暗黒ともいえる時代からの決別のシンボル

に、獅子「白澤」を登場させたのです。

「白澤」獅子印「寶」を唐朝の神器として祀り、自らを有徳の皇帝、黄帝の再来であると

天下万民に宣言したのです。

開元の新時代の象徴獅子が道教の始祖、黄帝伝説「白澤」に由来(ゆらい)するものです。

この獅子白澤が以後の漢文化圏に伝播(でんぱん)した獅子文化の(もとい)であります。

神噐・太極「寶」の(ちゅう)、台座の飾りが獅子と決定されたのです。

                  平成19228