新築4畳間

 

新築なった一階の一番後ろに4畳の部屋が私の書斎兼寝室であった

別れた妻は隣室の4畳のクローゼット付き、8畳の寝室である

その私の4畳からトイレと裏口が直ぐ隣り合わせであった

だから、家の者に気付かれず、真夜中でも裏口から出入りできる

これだけは有り難かった!

当時部屋の入り口に獅子窟庵と高札を掛けていた

文字通り、「寶」解明の獅子窟であった

「寶」解明に行き詰まった時、深夜、裏口からそっと抜け出て、深呼吸する

そして家の前の河沿いを散歩する

そして夜空を仰ぎ自問自答する

その4畳の間で、歴史の第六章、最後の難関「則天武后」と戦っていたのである

稀代の妖怪「則天武后」である、私は4畳の間で、のたうちまわっていたのである

今は家を他人に貸してローンを助けている

私に取って新築の家は抜け殻、その4畳間だけが「寶」の思い出なのである

 

平成19729