帰国迫る

 

帰国一週間前程であろうか

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二人の会話がめっきり少なくなった

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とりとめない、話しに終始した

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ウンとか、イエスとか、何を話すでもなかった

時折エラーが必要以上に明るく振舞う

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その頃のエラーは、私の背中に爪を立てる程、激しくなった!!!

オホン・オホン

としお分かりか

!!!!

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そんなある晩、二上山に車を走らした

沈黙の夜空に、月が出ていた

そしてエラーは月を指差し

タカギ・帰ったらムーン・あれ見る!!!

月、見てタカギ・ジャパン・思い出す

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ンーーー

マンダム

セム・セム(同じ・同じ)

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暮れのクリスマスにトナカイが来た

そして日本の雪・櫻の花見・チューリップ・新緑の日本

色々な所に出かけた

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あっという間の半年であった

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車の助手席で、片手をそっと私の膝の内側に添える

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記憶は鮮明である

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そうそう、帰国3日前に買ってやったのが、日本製のカメラであった

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それが最期の買い物であった

そのカメラで4・5枚、私を撮った

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タカギありがとう、と、小さな声で呟いた言葉が弱弱しかった

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平成22529