父と母
父正俊は書と絵画に多少の才があった
信仰心は厚かった
酒は毎日一合の冷酒
何十年間飲み屋へ行くことも無かった
私の知らない若い頃はイザ知らず、女遊びも勿論無い
愛石(盆席)集めと骨董集めが趣味であった
であるから、昔あった愛石の会と氷見市刀剣協会の役員を一時していた
基本的に会のリーダーになるタイプではなく、温厚な性格から引っ張り出されて仕方なく
名を連ねていただけであろう
式部は婦人会や色々な趣味の会に入るなど、皆無の人で、兎に角商売だけの人であった
没落した高木家再興に二人の意気はピッタリであった
だから、父親は行商、母親は呉服店と只、只頑張った
振り返って考えるに、目的が一つ、完全に合致した
二人とも商売に熱中した人生である
相互補完しあいながら、水を得た魚同士であった