祖父と読書

 

祖父は時々本を広げていた

居間の壁に分厚い本が、何十冊か並んでいた

父親も、行商から帰ってきたら、時たま寝そべって本を広げていた

しかし私に本を読めとは一言も言わなかった

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勿論、勉強しろとも一言も言わなかった

不思議である

言ったのは、父親が一言「いい加減に漫画を卒業しな」と言っただけである

それ以前、父親にヤマタノオロチ、義経の八艘飛び、那須与一扇の的などを聞かせてもら

っていた

そして次第に江戸川乱歩の「怪人二十面相」に凝っていた

祖父の影響もあって「岩窟王」「宝島」なども読んだ覚えがある

本は嫌いでなかったが、やはり汗を掻く外の遊びの方が断然おもしろかった

今日こん日まで、確実に5000冊以上は読んでいる

私が何とか人と対等に話しあえるのは読書のお陰である

全て祖父と父の影響である

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平成2215