『東京』   金子桂三

    忘却の昭和30年代

 

既に亡くなっているが、母親の一番上の兄は、若き頃より故郷を捨て東京の葛飾区に住ん

でいた

私が小学生の頃、母親と伯母、叔父、その従兄弟達と、東京の長男叔父の家に遊びにいっ

た事がある

母親と伯母さんまで知っているが、あと誰と誰と行ったか記憶が無い程、小さかった

小学1年・2年、いや幼稚園かもしれない????????

逆算すると昭和20年代後半である

写真集は昭和30年代の東京である

叔父さんは葛飾で鉄クズ屋をしていた

資材置き場には鉄クズの山が幾つもあった

布を張った桶の上で三角の鉄コマ(ベー独楽)をぶつけ合って遊んだ記憶がある

子供の頃で分からなかったが、鉄くずの山は恐らく朝鮮戦争特需に沸いていたのであろう

記憶の底の底、オボロゲな東京の景色を辿りながら写真集を見ている

すっかり忘れていた幼い頃の、母親と従兄弟との記憶の旅である、

昔の写真集を開くのも、自分探しの世界である

復興の兆しが見える東京風景である

これも読書の効能である

平成19811