★★★★死の扉の彼方

             モーリス・ローリングズ著

                      昭和56年発刊

 

題名は不確かだが立花隆の「死からの生還」と言う著書を何年か前に読んだ

取り上げた題材はほぼ同じ内容である

発行昭和56年であるから、記憶に間違いなければ、モーリス博士の方が先の筈である

著書で死後に天国と地獄があるという臨死体験が書かれてある

立花先生の著書には地獄体験例は載っていなかったと記憶している

私の知っている女性2人、死から生還した臨死体験者いる

二人の話は立花先生やモーリス博士に書かれてある、天国の臨死体験とほぼ同じであった

一人は急性の病気、一人は自殺未遂である

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臨死体験をした二人の女性は、共に死に対してなんら恐れを抱いていない

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読んでいて立花先生の著書よりこの本は興味深い

聖書の一節も取り出し死後の世界を慎重に論じておられる

私はキリスト教の信者では無いが、なかなか示唆に富んだ書である

光速より早い「思考速度」の新語に驚かされた

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人間と言う生物に自我と言う意識が芽生えた太古の時代から、死の絶対性は驚異であり恐

怖であったろう

それは未来永劫変わらないであろう

生と死はコインの裏表、

物凄く近くに存在しながら、科学的に究明不可能な未知のゾーンなのである

最近では宇宙の果てまで、観測する時代に突入しているが、電子望遠鏡などを用いても観

測不可能な聖域なのである

死後の極楽天国の想定により、ある意味宗教成立していると言っても過言では無い

それ程「死」は地球上全てのものに立ちふさがる壁である

生が永遠であったら、現世は物理的現象においても、また精神的にも完全な地獄と化する

可能性が大であろう

死がこの世を浄化していると言って過言ではないであろう

無意識にもまた意識的にも死後の世界(天国地獄)を認識する事により、法の刑罰よりも

遥かに大きい自制が働いている

私は二人の女性の、臨死体験を聞いた!!!!!!!!

二人ともこの著書に書かれてある明るい死後の世界であった

私が初めて死を目の当りにしたのは祖父であった

祖父は大きなイビキをかきながら、そのまま眠るように息を引き取って逝った

また末期癌で相当苦しんだ兄の最期は看取ってないが、死に顔は薄っすらと笑顔であった

反対に、この本を読みながら、絶えず一人の人間の顔を思い出していた・・・・・・・・・。

 

★その男性は一度死の淵までゆき、生還してきた人間である

その男は当時70歳を超えていた・・・・・。

男は長らく心臓に持病を抱えていた

私はこの人間が息を吹き返した後の顔が脳裏から消えないのである

拒絶反応であろうハッキリとは思い出せないが、兎に角私が凍りつくような恐怖体験であ

った・・・・・・・!!!!!!!!

その顔は完全なデスマスク・・・・!!!!!!無表情、石膏で固めた顔であった

いや、生きているから、むしろ死者より酷い顔であった

私は思わず顔を背けた・・・・・・!!!!!!!!

これが生きた人間の表情かと疑う面相で、怪談映画でも見た事の無い兎に角言葉で表現出

来ない顔であった

丁度デッサンに用いる石膏の無表情な人形にただ着色した形相である

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その男の心の内面に何が会ったのか、また原因が臨死体験なのか私には今でもわからない

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この人間についていずれ私の自分史で触れなくてはならない時が来るであろう

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良い機会である

簡単にこの人の人生について触れておこう

仮にYとしておこう

Yは幼くして両親に死に別れ、親戚に預けられ育ったそうである

その事は、何十年墓地で一番小さな墓に苗字が二つ刻まれてあった事でも分かる

兎に角、薄暮な幼少期と聞いた

Yの妻は火傷が原因で、50才前後で亡くなり、1年も経つか絶たぬかで再婚

その後妻もYが亡くなると、サッサとYの家を出て行った

子供は息子3人・娘2人である

一番下の息子が若き頃精神を病み、現在55才を過ぎたが独身で今も一人で一応家を守って

いる。

長男・次男は結婚以来一度もYと同居せず、その女孫4人全員他家に嫁いだ

即ちYの姓を名のるものは居なくなり、現在の所、Yの子の代で家は絶える運命にある

結婚した娘二人共、事実上の離婚である

姉の夫は二人の息子か心配で離婚出来ないと、悲痛な心底を私に吐露した

二人の娘は結婚したり子供を産んだりしてはいけない女性であった

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Y40年近く行き来したが、Yの所へ友人知人はおろか、親戚の者も尋ねてきたのを、一

度も見た事が無かった・・・・!!!!!!!!!!!!!!!!!

それどころか、近所、部落の者もである!!!!!!!!!!!!!!!!!

Yの家の仏壇に蜘蛛の巣がかかり、神棚に埃が積もっていた

私の知っている限り何十年間である・・・・・・・・。

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田畑をことごとく売り払い、生涯家一軒すら建てることができなかった人生である

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そのYが漏らした言葉で印象的に残っている話をしよう

     @人間はロビンソン・クルーソーでは生きられない

     A裏切りは許せない

     B自分は只の一度も悪い事はしていない。

だから天国へ召されることを確信していると

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このBの言葉にはさしもの私も一瞬ポカーンとした

ローマ法王でも、天国に召されますようにと祈る

肉を食っていないか?

魚を食っていないか?

蟻を踏んづけていないか

アホな自分でも到底吐けない言葉であった

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私なんか、完全に赤点の人生!!!!!!!!!!!!!!!

閻魔大王にワイロを持って行かねばならない

残された人生、聖人君子で送っても、点数が足りない

・・・・・・・・ムムムムムムム

冗談は置くとして、この著書は一読に値した

今の私では天国、地獄何とも言えない

しかし,読みながらもYのあの顔が浮かんで来そうで、打ち消しに頭を何回も振った

私にはむしろ、今生きているここが、娑婆、天国地獄そのままである

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今度、モーゼの十戒でも読むか

ホントは何が書いてあるかも、知らないのに(笑い)

以上

平成181223