寶への道(一)

 

私の父は戦後行商をしながら骨董集めに執念を燃やしておりました。

その昔私の生家はかなりの豪農であったが、米商の失敗により、田畑は勿論、

蔵一杯の骨董品処分に競り市が数日立ったと言う。

子供の頃、人だかりの中で売り払われるセリを目の当たりにしていた父は、

一代骨董集めに情熱を傾けるのである、その父の影響が結局私を「寶」に引き

合わせたのです。

本業の不動産バブル期の合間にも、美術館や骨董店に意識的に出かけていました。

また私はあちこちのセリ市にも顔を出していました。

人と人の出会いが運命を(あや)なします。

曲折(きょくせつ)しながらも、人は宿命の道を歩んでいる気がいたします。

血の川・・・・・・定め川・・・・・・・・血潮が騒ぐのです。

未曾有の「寶」が、1300年間、海を越え、そしてどのような運命を辿り、

私の目の前に現れたのか天のみぞ知る・・・・・・・・!

まさに天命、宿命の出会いでありました。

平成19221